『何者』

 

朝井リョウの『何者』を読んだ。

 

来年、5回生として就活する僕にとって

とても気になっていた作品。

 

読み終わった直後は爽快感があったが、

読後から2日たった今、

じわじわとこの作品の毒が牙をむきはじめた。

 

 

僕を登場人物にあてはめると

大学1年〜3年:リカ、たかよし

大学4年(現在):拓人

だと思った。

 

また、光太郎の「カメレオン」のような

人付き合いの模様は僕自身とも重なる。

 

 

たかよしの意見は、僕が同級生や家族に

偉そうな口調で話したことと酷似していた。

 

リカのように「学生団体の代表」として

名刺を配ったり、

Facebookに自慢げに活動をアップしたりもしていた。

 

Facebookの投稿を読後にいくつか消した)

 

そして、リカやたかよしの言動を今では少し

「痛い」と感じている自分は

拓人であるとも言える。

 

 

意識高い系女子のリカは最後に

「かっこ悪いままでも頑張るしかないんだ」

という趣旨の発言をする。

 

これは朝井リョウが若者に伝えたかった

結論なのだとも捉えられる。

 

たしかにそうだ、と読んだ直後は

勇気付けられると共に清々しい気持ちになった。

 

 

しかし今は、

心に靄がかかったような状態に陥っている。

 

拓人、たかよし、リカの生き方は

端からみると痛かったり、かっこ悪かったりする。

 

僕も読んでるときは

「痛いなー、こいつら」

と思っていた。

 

けど、とても他人事のように思えない。

 

 

僕の大学生活に当てはめてみると

1年〜3年までは、たかよしやリカのように

「何者」かになろうとして背伸びした活動をしていた。

 

4年生になった今、その活動から少し離れて

過去の自分を「青かったな」と思うようになった。

 

でも、青かったけど

「他の学生よりは価値ある知識や経験を積み上げた」

という変な自信は残っていて、

それが自分を大なり小なり支えていたように思う。

 

 

でも、結局たかよしやリカの活動は

『何者』でもない、いち学生の単なる背伸びであり

「すごそうに見せてるだけ」なんだと

朝井リョウに言われた気がして

 

じゃあ僕が3年間、

楽しいキャンパスライフから目を背けて

時間もお金もエネルギーも注ぎ込んできたのは

いったいなんだったんだろう

という虚無感に襲われる。

 

 

意識の高い活動をやめて単位を取るために

毎日大学に通っていると

嫌が応でも「大学生活を満喫している学生たち」

の姿が目に入る。

 

僕の4年間には無かった、楽しい毎日。

 

 

それで劣等感や孤独感が刺激されて

ここ2週間ほど

彼女を作ろうとエネルギーを費やしてみた。

 

 

でも、ぜんぜんうまくいかない。

 

今日もカレンダーにアラート機能をつけた

「デート」の予定を入れていたが

見事にすっぽかされた。

 

本当ならショッピングモールで楽しんでいたはずの時間に

静かな部屋でパソコンをカタカタしている。

 

やっぱり、なんだか虚しい。

 

 

モヤモヤを吐き出したくて

半分グチのような形で書かせてもらった。

 

『何者』ほど良い意味でも悪い意味でも

心を揺さぶられた作品はなかった。

 

作品を読み終えた後でも

いつまでも「現実の世界」に戻らせてくれない。

 

本当にナイフで刺されたように

血が止まらない。

 

 

この作品は人に勧めるべきか、とても迷う。

 

『白夜行』

 

白夜行」という2006年に放映されたドラマを観た。

 

東野圭吾の小説が原作である。

 

 

とても考えさせられる内容だった。

 

主人公の亮司とヒロインの雪穂は

お互いを幸せにするために罪に罪を重ねていく。

 

 

しかし、その「幸せ」とは一体なんなのか。

 

本人たちにもわからないし、

登場人物も視聴者である僕もわからない。

 

亮司は多くの犯罪を犯した。

それ自体は許されるべき行為ではない。

 

しかしその動機は、悪意ではなかった。

ただ雪穂のためを思ってやったのだ。

 

 

このお話は、誰が悪いのかもわからず

どうすれば良い結末を迎えられたのかもわからない。

 

正解はわからないけど、

登場人物の生き様や葛藤をみて

 

「生きる」とはどういうことなのか

「愛」とはなんなのか

言葉では言い表せないものを感じさせられた。

 

 

世界観に入り込みすぎたせいで

とても複雑な気分になっている。

 

でも、観てよかったと思う。

 

改めて、自分はどう生きるべきなのか

深く考える機会になった。

 

子どもができたら、ぜひ観せたい作品の一つである。

余裕をもつこと

今月は浮き沈みがとても激しい。

 

新しいプロジェクトを始めたり、

禁欲に挑戦してみたり

恋人探しを始めてみたり・・・

 

そして今週末に

色々と我慢していたものが噴き出して

やる気がなくなったり、散財したりした。

 

 

やはり生活には余裕、余白が必要だと感じた。

 

僕にはあくせくと働く毎日は

性に合わないと気づかされた。

 

そこそこの収入でいいから

ゆったりと過ごせる時間がほしい。

 

 

映画と本と音楽があれば

必要な刺激は得られる。

 

あとは人付き合いと旅かな。

 

 

思えば、僕が触れてきた本や映画たちは

「これが幸せの本当の形なんだよ」

ということを何度も語りかけてくれていた。

 

 

大金を稼いで、有名になって、美女をはべらせて・・・

 

そんないわゆる「成功」を目指しても

幸せにはなれないのだろう。

 

 

そんなものはなくても

自分の大好きな人が側にいて

仲間たちと笑いあって

素敵な作品をゆっくりと愉しむ。

 

それさえあれば幸せになれる気がする。

 

昨夜みた「天使のくれた時間」も

そのことを教えてくれた映画だった。

 

 

この世の中はとかく「外ヅラ」に惑わされている。

 

岡本太郎の本を読んでいると、

たしかにそうだと心から納得させられる。

 

強くなくていい。

何者かにならなくていい。

 

自分が自分のままで

全力で挑んでいけばいい。

 

 

人生に正解はない。

 

何が正解かは自分しかわからないし

自分で決めなければならない。

 

 

こういうことを忘れずに、

周りの意見に流されずに

生きぬいていこう。